薬草を活用した
地域イノベーション
試験的な商品開発から、
いずれはハーブの体験施設に
この薬草プロジェクトで、薬草の栽培や商品開発に協力してくれているのが、先述した曽爾高原ファームガーデンの立花弘晶さん。現在、ミント、レモンバーム、ラベンダーなどのハーブを育て、手始めに、ミントを使ったチョコチップ入りスコーンや、デザートにのせるミントティーのジュレを試験的につくり、販売を開始しています。「加工品にする量はまだ栽培できていないので、まずはできるところから始めているところです」。来年度からは種類も生産量も増やしていき、ハーブ摘み体験や、その場でブレンドしてハーブティーをつくるワークショップなども構想しています。「誰が来てもハーブを体験できる場所にしていって、山登りや温泉、景色などと相まって、薬草が心健やかに過ごしてもらえる一つの要素になったら良いなと思っています」
歴史の残る奈良で、
育て方と使い方を示していく
そして、このプロジェクトのプロデューサー的役割を果たしてくれているのが、株式会社ALHAMBRAの代表を務める橋本真季さん。橋本さんは奈良市の出身で、東京でファッションのブランドマーケティングなどの仕事に従事した後、自然素材の食品や化粧品を扱う会社を起業。現在も、全国各地を飛び回り、産地と協力して原料をつくるところから、販売までを一貫して執り行っています。そんな橋本さんがたどり着いたのが、日本の薬草文化。しかもその始まりは奈良と言われており、縁を感じた橋本さんは、生まれ故郷の奈良で薬草に関わる仕事を始めたのです。「明治時代に、西洋医学が入ってきて、東洋医学は医学じゃないとされてしまいました。生薬を作っても商売にならなくなって、つくる人がいなくなった。でも、ストレス社会になって、今、東洋医学が見直されつつあり、国も県も力を入れ始めています。だからこそ、栽培と使用の歴史が残っている奈良で、やることに意味があると思っているし、育て方と使い方をもう一度示していきたいなと考えています」
少し昔に戻すことで
心と体を健やかに