01 目的は、持続可能な農林業の実現

曽爾村農林業公社が設立されたのは2016年6月のこと。その大きな目的は、村内の農林業を持続可能な状態にすることです。戦後、曽爾村の産業の中心は林業でした。しかし、安価な外国産材の流入などによって国産木材の価格が下落し、徐々に林業が生業として成り立ちにくくなっていきました。その代わりに盛んになったのが農業です。しかし今、その農業も少子高齢化などにより担い手が不足し、衰退傾向にあります。農地が荒れるということは、美しい農村の景観も保てなくなるということ。毎年60万人を受け入れる観光地としても、それは避けなければなりません。そこで、村の農林業を官民共同で守っていこうと考え、森林組合・農協・農業委員会・曽爾村役場・曽爾村観光公社が協力して、一般社団法人曽爾村農林業公社を立ち上げたのです。

02 地域資源の利活用と地域イノベーション支援

曽爾村農林業公社では大きく分けて2つの事業を行っています。1つ目は農林業を持続的に行えるようにする支援。例えば、耕作放棄地候補の農地を整備・保守し、新たな借り手に引き継ぐことで農地を保全する取り組み。また、新規就農者が持続的に農業を行えるように、土地や人の紹介だけでなく、販路開拓の支援も行っています。これにより、農業に必要な人材や機材の循環を促進しています。
その他、曽爾産の農産物の共同配送や、農産物の加工を行うシェアキッチンを運営や、曽爾村の魅力を伝えるマルシェやECサイトも展開しており、持続可能な農業の在りようにチャレンジしています。そして2つめが、村内5地区が取り組んでいる地域イノベーション・プロジェクトの支援事業。各地区の人々と新たな商品を共に考えたり、販路の構築を支援しています

02 各地区で芽吹く、地域イノベーション

曽爾村では、現在5つの地区で地域イノベーション・プロジェクトが始まっています。曽爾高原の麓にある「太良路」という集落の人々は、平成の名水100選に選ばれた曽爾高原の湧水を販売。水の味をより楽しんでもらうために、玄米コーヒーの開発・販売にも取り組んでいます。天然記念物販売屏風岩がある「長野」という集落の人々は、生産加工組合を立ち上げて、地区内で自生していたこんにゃくの商品化にチャレンジ。無農薬・無添加・自然栽培のこんにゃくは市販のものよりもやや粒感があり、おいしいと評判です。
鎧岳が鎮座する「葛」という集落では、農事組合法人を立ち上げて、曽爾のブランド米を使った焼酎開発に挑戦。水は鎧岳の湧水を使用しています。多輪峰山の麓にある「小長尾」という集落では、ゆず果汁とゆず皮の粉末を商品化。漆の発祥の地である「塩井」という集落では、2005年から漆の生産・活用に取り組んできた「漆ぬるべ会」のみなさんが、漆を使った新たな工芸品開発を進めています。

04 村内外のコミュニティを育てていきたい

農林業公社は、持続可能な農林業の実現を目指し、さらに新たな取り組みにも挑戦しています。例えば、担い手がいなくなり、耕作放棄地となる田んぼを公社が借り上げ、借りたい人とマッチングするような取り組み、公社として農機具を保有して農家のみなさんに貸し出す取り組み、また、手が足りない農家さんの作業を受託し、若手をオペレーターとして派遣することで、人材の育成にもつなげていく取り組みといったものです。さらには、価格競争に飲み込まれない流通の仕組みを作り、曽爾村を良いところだなと思う人たちが村の産品を買い支えるようなコミュニティを育てていくことで、村への移住者を増やしたり、関係人口を増やして、村の賑わいの創出にもつなげていきたいと考えています。

名称 一般社団法人曽爾村農林業公社
所在地 〒633-1214 奈良県宇陀郡曽爾村長野62
電話 0745-96-2112
FAX 0745-96-2118
Email info@soni-agriforestry.jp
設立 2016年6月24日
事業内容 ・農業振興事業(農産物の生産振興・卸売、農作業受託・直営圃場運営、新規就農支援)
・林業振興事業(森林資源活用・木材加工による付加価値の創出)
・薬草事業(薬用作物の産地振興・卸販売・加工品開発等活用研究)
・地域イノベーション事業(地域資源を生かした集落団体等の商品開発・販売支援)
・「そにのわマルシェ」「そにのわマルシェオンラインストア」の運営

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