STORY03 新規就農者への支援

01 基幹産業である農業を
支える人を育ててきた

曽爾村は、基幹産業である農林業の地として守られてきた土、曽爾高原からの湧水や青蓮寺川の清水など、美味しい作物が育つ自然環境があり、近隣の都市へのアクセスは比較的スムーズです。村へ移住し新規就農を志す人にとっては、恵まれた条件が揃っているといえます。
ですが、その志は何らかの理由でつまずいてしまうと、継続が難しくなるかもしれません。農業の従事者が過疎化と高齢化で年々減少傾向にある曽爾村では、それが地域の衰退につながってしいます。そこで、農林業の振興を使命とする農林業公社では、就農を志す人たちを迎え入れ、さまざまな支援を行っています。

02 さまざまな就農スタイルに
分け隔てない支援を

農業以外の分野から、それまでの人生を大なり小なり転換して就農した人たちが、最初につまずきがちなことは、農地や人とのつながりです。農林業公社では、まだ地縁のない新規就農者に農地を斡旋したり、栽培スキルの習得や地元との信頼関係づくりのために、経験豊富な農家で研修を受けられるよう人脈の斡旋もしています。初期投資のかさむ農機具は村から貸し出し、ビニールハウスは村のリース事業を紹介するなどの支援を行っています。
研修後には、個人農家として独立する人、他の業務と組み合わせて複業的に農業に取り組む人、自給的に農ある暮らしを実践する人たちもいます。独自にノウハウを身につけた人も、地元との関係づくり、機材や制度等の活用に関する支援が求められます。そんな場合も、農林業公社は相談機関の役割を担っています。

農林業公社が関わる若手農家の紹介

新規就農した先輩の声01

豊田 啓さん
(30代)

経歴(出身/前の職業)

大阪府東大阪市出身。前職は酒・飲料メーカーで働いていました。

どういった経緯で曽爾へ?

大地を戻すため、子供たちに安心安全な食を届けるため、無農薬無化学肥料の農業を実現するためにきました。

現在は何をしていますか?

無農薬・無肥料・不耕起・自然栽培を実現するために耕作放棄地の開墾、土作り、野菜の栽培をしています。

新規就農した先輩の声02

髙林 千江里さん
(30代)

経歴(出身/前の職業)

大阪府東大阪市出身。美術館の運営や、生活雑貨店での販売の仕事を経験してきました。

どういった経緯で曽爾へ?

転職を考えていた時、協力隊としてご縁をいただき移住。農業は未経験でしたが、高原トマトの生産後継者として活動してきました。

現在は何をしていますか?

2023年、高原トマトの生産を主軸に、髙林農園の屋号で独立しました。現在は、農園として新たにリンゴの栽培にも挑戦中です。

新規就農した先輩の声03

浅田 仁美さん

経歴(出身/前の職業)

兵庫県出身。前職はルアーの塗装をしていました。

どういった経緯で曽爾へ?

地域おこし協力隊をきっかけに曽爾村へ移住しました。

現在は何をしていますか?

「美味しいトマトの研究所 あした元気になぁ〜れ!」の屋号で栽培期間中農薬・化学肥料・除草剤不使用で多品種トマトの栽培をしています。

新規就農した先輩の声04

中野 展宏さん
(30代)

経歴(出身/前の職業)

大阪府堺市出身。地方銀行での営業職をしていました。

どういった経緯で曽爾へ?

将来的な独立を目指して農業研修を受けられる場所を探していたときに、曽爾村の地域おこし協力隊の募集を見かけたことがきっかけです。

現在は何をしていますか?

「畑のあかり」という屋号でトマト農家として独立。無農薬・無化学肥料でのトマト栽培をしています。

新規就農した先輩の声05

山下 竜一郎さん
(40代)

経歴(出身/前の職業)

大阪府豊中市出身。前職は調理師をしていました。

どういった経緯で曽爾へ?

大阪が暑かったので涼しい所に住みたかったです。

現在は何をしていますか?

有機農家です。施設で軟弱野菜を栽培してます。他に自然栽培で蓮根。現在養鶏に取り組み始めていて、堆肥舎の建設も考えています。

新規就農した先輩の声06

村山 泰視さん
(40代)

経歴(出身/前の職業)

大阪府出身で前職は建築業に従事しておりました。

どういった経緯で曽爾へ?

明日香村の農家さんから曽爾村というキーワードを知りました。2020年に移住し、3年間の地域おこし協力隊を経てトマト農家として独立しました。

現在は何をしていますか?

夏秋トマトを主軸として、特別栽培農作物(化学肥料不使用・減農薬栽培※播種時1回のみ消毒)のお米(コシヒカリ)や、冬には寒締めほうれん草の栽培をしています。地域の草刈りの仕事も担っています。

新規就農した先輩の声07

山田 亮輔さん
(30代)

経歴(出身/前の職業)

京都府出身。大学卒業後から曽爾に移住するまで大阪の障害者支援施設で働いていました。

どういった経緯で曽爾へ?

毎年観光で来ていました。農ある暮らしにも興味があり、村内のイベントにも参加していたら、地元の方との出会いもあって、観光する場所から住んでみたい場所に変わっていきました。

現在は何をしていますか?

まだまだ微々たる量ですが、ホウレンソウやミズナを栽培し、農協に出荷しています。 また前職の経歴も活かして、村内の福祉事業所でバイトもしています。

新規就農した先輩の声08

谷 紀彦さん
(40代)

経歴(出身/前の職業)

奈良市出身です。徳島有機農業サポートセンター8期生から、徳島有機ファームで研修、新規就農目指して、働いていました。

どういった経緯で曽爾へ?

新規就農の場所を、奈良か徳島で探していて、たまたま曽爾村さんが、地域おこし協力隊の制度を活用した農家募集を行っていたので、応募しました。

現在は何をしていますか?

徳島で、学んだBLOF理論を基本にした有機農業を行っています。ミディパプリカ、ミニトマト、アスパラ、カリーノケールの4つを柱に栽培しています。

新規就農した先輩の声09

岡本 太材さん
(30代)

どういった経緯で曽爾へ?

奈良県奈良市出身 前職はインテリアショップで社員として従事していました。

経歴(出身/前の職業)

私自身は奈良市で生まれ育ったのですが、私の先祖は曽爾村で暮らしていました。 そんな自身のルーツでもある曽爾村から奈良県を盛り上げて行きたいなと思い、移住しました。

現在は何をしていますか?

多様性を大切に。様々な生き物達との共生をテーマに、夫婦で百姓とプラントベースの焼き菓子屋を経営しています。

※2024年時点の年齢や情報です。

03 人脈とノウハウの紹介と伝統
多様な選択肢で後押し

曽爾村には、長年の取り組みにより、ほうれん草などの葉物野菜やトマトをブランドとしてきた農協の「ほうれん草部会」と「トマト部会」があります。2つの部会は、かつて林業中心であった時代から農業中心へと生業を変化せざるをえなかった中で、より安定した収入を目指して夏の涼しい気候を生かし、高原野菜の生産に力を注いできた先人たちの努力の賜物です。
農林業公社では、伝統ある部会を応援するため、ほうれん草部会と連携し、「寒熟ほうれん草の鍋セット」というアイテムを作り、オンラインで受注し、仕入れ販売しています。トマト部会との連携では、規格外トマトを買取り販売するなどして付加価値を高める取り組みをしています。
新たに就農する人は、安定した品質と数量で栽培するためのノウハウが構築されているこれらの農家の研修生となり、働きながら学ぶことができます。名人級のベテランから直接指導を受けるられることは、栽培技術や営農ノウハウを習得する基礎づくりに大きく役立っています。

04 人とつながり楽しく健やかに
曽爾村で農業で生きていけるように

農業は、元来は親戚や近隣で助け合い、苦楽を共にした人と人を結びつけてきました。そんなつながりが崩れている現代では機械化が進み、個人でも対応できる範囲が増えています。
けれども、たとえ機材やノウハウが揃っていても孤独であったら、課題にぶつかったとき相談できるところもなく、農業は苦しいものにもなりえます。やりがいを感じ、収益を得て、楽しく健やかに生きていくためには、共に村で暮らし農業をする人たちが精神的にもつながり、切磋琢磨できる仲間を得ることが大切なことかもしれません。農林業公社ではハード面、ソフト面ともに寄り添った支援ができるように取り組み、応援しつづけます。

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