STORY04-2 販路開拓の支援 katteの取り組み

01 そにのわの台所Katteは、
食を起点に人と人をつなぐ場所

曽爾村の青蓮寺川沿いに広がる9つの地区の一つ、今井地区には、かつて蕗の佃煮や桑の実ジュースなど村の特産物を製造していた加工所がありました。現在、その場所は、交流施設「そにのわの台所katte」(以下katte)として再生されています。外観はカフェのようで、村に住む人や訪れる人々をつなぐ役割を果たしています。
katteは、村の農業従事者の声を集めて計画されたユニークな機能を持つ場所です。販売目的の加工品を製造することができる製造許可つきのシェアキッチンが設置され、村の資源を加工して魅力ある商品を開発することが可能。さらに、村内で栽培された農産物や加工品が並ぶショップを併設し、村内外の誰でもが購入できるマルシェとしての役割も担っています。
スーパーや飲食店など業界向けの流通とは別に、個人を対象に作る人と食べる人を直接つなげる拠点であり、イベントの開催や、ECサイトの運営も行っています。

02 オリジナル商品づくりも
いちからサポート

飲食店を開いたり、食材を加工して販売するには、様々な許可や設備が必要で、個人が初期投資するには大きな負担がかかります。katteには、菓子製造業(パンを含む)、清涼飲料水製造業など、6つの許可を取得した製造許可つきのシェアキッチンがあり、曽爾村の農産物を使ってオリジナル商品を開発したり、ワークショップの日に料理を作って提供したりすることができます。オリジナル商品を製造するのが初めての人でも、利用者登録すれば、専属の講師から安全なものづくりのしかた、原価計算の方法などもサポートしてもらうことが可能です。
この背景には、規格外などで廃棄されてしまう生産物を活かしたいという課題や、これらを加工して販売したいという要望がありました。katteを利用すれば、経験者・未経験者を問わずシェアキッチンで加工品を製造し、マルシェやイベントで販売することができ、新アイテムを開発する際の相談もできます。
katteオリジナルの加工品も増えてきました。例えば、地元素材と掛け合わせ近畿大学の学生さんとともに考案したレシピによるトマトソースがあります。規格外トマトを農林業公社が買取り、katteのキッチンで製造し、村在住のデザイナーによるパッケージを施したオリジナル商品は、2021-2022年度の奈良のたからものグランプリで審査員特別賞を受賞。Katteをはじめ、村内外で販売されています。

03 村内外へ曽爾の食の魅力を
伝えるマルシェを開催

katteでは月に一度、村内の農家から届いた新鮮や野菜、加工品、ランチ、ドリンクメニューなどが販売されるマルシェを開催しています。シェアキッチンが内窓の向こうに見えるスペースには、カフェのように人が集えるテーブル席、隣には村内で開発されたオリジナル商品が並ぶショップも併設されています。村の人たち、移住者、近隣の村や町から遊びにくる人たち、出荷した際に立ち話していくベテラン農家さんや新規就農者、さまざまな人がこの一日を目当てに集ってきます。この機会を利用して、シェアキッチンでつくったメニューを披露したり、村の健康相談室が開かれたりもします。
しかし、高齢化が進む村ではなかなか今井地区まで足を伸ばせない人たちもいます。そこでkatteでは、各地区の集会所などへ出向く「出張そにのわマルシェ」を行うようになりました。不定期開催ですが、毎回9つ全ての地区へ足を運んでいます。出張マルシェには移住者や農家が立ち寄る場面もあり、「こんな野菜があるんだね」「これをあの移住者さんが作っているんだね」と、地域の人が近くに住みながらも知らなかった作物や商品のこと、移住者のことを知る場所にもなっています。

04 食を通じて曽爾村の魅力を再発見し、
良さを守り伝える場所へ

また、マルシェはオンラインの顔も持ち合わせています。イベント日でなくても、曽爾村産の野菜やオリジナル加工品を購入でき、定期便(月1回、2回のコースあり)も受け付けています。定期便には、季節の野菜に村の加工品を加えたセットに、手書きのお便りや野菜のレシピが同封され、katteのコンセプトどおり「食」を通じて購入者と村をつなぐ媒体となっています。
katteは村内だけなく、来訪者や村外の人にも目を向けた施設です。
目指すのは、「食」を起点に互いにつながる場になること。村の資源を活かし、マルシェや商品開発を通して魅力を発信し、子どもからお年寄りまでが曽爾村のすばらしさを再発見する場であり、都会に暮らす村の出身者が故郷を味わう場、遠方から訪れる人と村が交流する場です。
今後さらにこれらを進め、暮らしの中で受け継がれてきたもの、守られてきた地域資源を残して伝え、「食」を起点に未来を描いていく場になることを目指していきます。

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