
曽爾の水と米で作る
曽爾村初の酒造事業
「ゆめの里かずら」は、「葛(かずら)」という集落の住民たちで作った農事組合法人です。27名の組合員で構成され、そのうち7名の理事と、大阪からやってきた地域おこし協力隊員・佐々木翔平さんの合計8名が中心となって運営しています。そんな「ゆめの里かずら」で取り組み始めているのが、曽爾の山々からの湧水で育った米を使って作る、曽爾村初の酒造事業。米焼酎の先進地での研修で技術とノウハウを学び、目下、焼酎製造・販売のための許可申請を進めているところです。


許可不要の甘酒から
製造・販売をスタート
「ゆめの里かずら」のみなさんが焼酎造りを始めた背景には、やはり少子高齢化によって少しずつ住みづらくなってくる集落の未来を、少しでもよくしていきたいという思いがありました。「全員素人だから大変ですが、こうしてみんなで取り組むのは楽しいです」と、理事長の穐西さん。理事のメンバーは販売促進部、製造部、管理部に分かれ、それぞれの役割を分担。女性の組合員は、飲み手に焼酎の楽しみ方を提供する「焼酎唎酒師」になるための講座を修了するなど、製造だけでなく、より多くの人に届けるためのコンテンツづくりにも取り組んでいます。しかし、実際にはまだ製造・販売の許可が下りず、焼酎造りをスタートできないのだそう。それでも、そのもどかしさをエネルギーに変え、「ゆめの里かずら」のみなさんは、許可不要の甘酒の製造を開始。まずは村内で披露されました。

地域と肩を並べて、
一から事業を育てていく
そんな「ゆめの里かずら」に伴走する地域おこし協力隊員が、大阪府茨木市から家族と共に移り住んできた佐々木翔平さん。佐々木さんは、曽爾に来るまでは大阪府内の市役所職員としてまちづくりに関わるなどしていましたが、「もう少し地域に踏み込んでまちづくりに関わりたい」と考え、曽爾村の協力隊募集に応募。酒造りの経験があったわけではありませんが、組合員のみなさんと肩を並べて一から酒造りを学び、取り組んでいく新たなチャレンジに、日々おもしろさと喜びを感じているといいます。「もともと京都の田舎町の出身なのもあって、ゆくゆくは自然豊かな田舎で暮らしたいね、と妻とも話していました。曽爾村を選んだのは偶然ですが、このご縁を大切に、この事業をみなさんと一緒に育てていけたらと思っています」。
まずは地元の人たちに
愛される焼酎へ