01 曽爾村を盛り上げる
若手農家の育成に取り組む

曽爾村は山間地でありながら日当たりのいい土地が多く、昔から農業がとても盛んな村です。中でも、ほうれん草とトマトは関西圏では評判で、それぞれ部会をつくり、農家みんなで盛り上げてきました。
高齢化が進み、一つまた一つと事業をたたむ農家が増えていく中で、村では、地域おこし協力隊制度を使って就農希望者を募り、農林業公社を中心に、若手農家の育成に取り組んでいます。

02 甘みのある「寒熟ほうれんそう」の
担い手を育てる

曽爾村を代表する農作物の一つ、ほうれん草。村内の農家が集まり、40年ほど前からほうれんそう部会を立ち上げ、メンバーで協力しながらほうれん草を生産してきました。最盛期は60人ほどが所属。売り上げはなんと3.5億円ほどありました。しかし、高齢化に伴い、部会メンバーは現在25名。売り上げも1.1億円まで落ち込んできたといいます。「このままでは産地が潰れてしまう。本当にあと5年ほどで後継者を育て、生産量を増やしていかないといけない」と話すのは、村出身で、ほうれん草栽培の指導員を担う大向正憲さん。
自身も農家としてほうれん草をつくりながら、娘さんと、地域おこし協力隊の山本佑子さんの二人に、日々、糖度が高く甘みのある「寒熟ほうれん草」のつくり方を指導しています。「農業は自然相手なので工業製品のようにはいきません。ある程度実践で学ばなきゃいけないので、なかなか教えるのは難しいですが、楽しんでいます。二人以外にも、新しい担い手に来てもらえたら嬉しいです。農業を好きな人にきてもらいたいですね」

02-1 作った野菜を提供できる農家民宿を開いていきたい

大向さんのもとで指導を仰ぎながら、寒熟ほうれん草づくりに励むのは、奈良県上牧町出身の山本佑子さん。もともと大学で観光を学び、いつか奈良の中山間地に貢献できる仕事に就きたいという思いがあったそう。「農業の経験があったわけでもなく、日々勉強の毎日ですが、自分でつくった野菜で子どもに食べさせてあげられるのがとてもうれしいです」と山本さん。いずれ農家民宿を開き、自ら作ったほうれん草で料理を出して、お客さんをもてなしたいと笑顔で語ってくれました。

02-2 有機・無農薬の循環型農業で付加価値を生んでいく

奈良市から住まいを移してきた谷紀彦さんは、以前、大手飲食店の店長をしていました。当時の仕事もいやではなかったものの、より人生を充実させたいという思いから、徳島の職業訓練校へ通い、有機農業の基礎を習得。去年の四月から曽爾で、ほうれん草を始めとする野菜づくりに取り組んでいます。「一人で黙々とつくる作業が性に合っているみたいで、楽しいです。農業で生活していけるかはまだわかりませんが、有機・無農薬の循環型農業で付加価値をつけて、たくさんの人に食べてもらえるようがんばっていきたいです」と、谷さんはその決意を話してくれました。

03 トマト農家が増えるよう、
持っているものは全て渡す

トマトの栽培指導員を引き受ける寺前さんが就農したのは22年ほど前のこと。以来、ずっと曽爾のトマトと向き合いながら暮らしてきました。就農当時は40-50軒あったトマト農家の数は、今では5軒に。その状況を寺前さんは「もったいない」と話します。「曽爾のトマトは関西ではそれなりに名が通っていて、それなりに売れる。それは前の世代の人たちが下地をつくってくれているおかげさん。
僕らはいい意味で、それを利用しないといけないと思う。利用するということは責任がある。だからちゃんとつくる。そうして曽爾のトマトを守っていきたい」。そして、一人でも多くトマトで食べていける若者を育てて、ゆくゆくは、村内のあちらこちらでトマトが栽培されているのが目に入る、そんな村になることを目指して、「持っているものは全て渡していきたい」と寺前さんは話してくれました。

03-1 お客さんに楽しんでもらえる観光農園にしていきたい

寺前さんのもとでトマトづくりを学んでいる浅田仁美さんは、兵庫県明石市の出身。もともとは一般企業で事務員をしていましたが、一念発起してオーストラリアの語学学校へ留学した際に農業を体験し、農業に関心を持ちました。「曽爾村は水と空気がとてもきれいで大好きです。毎日、生きる上で大事なことをたくさん教わっています」と浅田さん。協力隊の任期が終わる2年後までにしっかりと技術を身につけ、ゆくゆくはトマト狩りを楽しんでもらえる観光農園にしていきたいという夢を描いています。

03-2 ひとつでも多く、自分でできることを増やしていく

中野展宏さんは大阪府堺市の出身。地方銀行で個人・法人向けに土地活用などの提案をする営業マンとして働いていましたが、目先の利益のためのビジネスモデルや、外国の影響を受けて食べ物の値段が簡単に上下する世の中のしくみに疑問を持ち、「未来につながる土地活用とは何か?」自分なりに考えた結果、農業にたどり着いたと言います。協力隊の任期後は、トマト部会の規格のトマトをつくりつつ、種を取り続けられる固定種のトマトも育て、自らの人脈を生かして新たな出荷先もつくっていきたいと考えているそう。「街で暮らしているころ、完成品をお金で買うことしかできない状況に怖さを感じました。今は、住んでいる家を自分で直したりもしていて、そういう“過程”を自ら体験することで、自分でできることを増やしていきたいですね」。中野さんの生きる力を取り戻す挑戦は続きます。

04 新規就農のハードルを
少しでも下げていく

農林業公社では、新規就農者が技術を習得できる試験ハウスを貸し出し 、新規就農をサポートしています。彼ら・彼女らが地域おこし協力隊の3年間の任期中に、きちんと技術を身につけ、
その後も村に定着できるまで伴走していくことが農林業公社のミッションであり、そのために今後も、商品販路の拡大やその他新たな取り組みによって、曽爾村の農業を盛り上げていきます。

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