自然のなかのスポーツ、ダウンヒル競技を新しい“曽爾の武器”に

    INDEX
  1. 地元・横浜での製造業を経て「奈良に住もう」と決断
  2. 愛するスポーツのプランを村長に直訴し、実施スタート
  3. コースづくりに奮闘中!2018年8月にオープン
  4. 今後も曽爾村で、林業やダウンヒル競技に携わりたい

地元・横浜での製造業を経て
「奈良に住もう」と決断

神奈川県横浜市出身の渡利さんは、同市で製造業に携わっていました。金型製造の町工場に長く勤め、金属加工技術やCAD/CAM(パソコンで設計や生産を行う)を得意としていたそう。分業制ではなかったことから、3Dモデリングなどを含めた幅広い業務を行っていました。しかし、満期終了により新しい仕事を探す際、ふと「奈良がいいな」と考えたことが、人生が大きく変えることになります。「大都市圏に近い立地で、山があるから『奈良に住もう』と決めたんです。実は“自分でつくりたい”と考えているものがあって、奈良であればそこにお客さんを呼び込めるだろうと思いました」と渡利さんは話します。奈良県内で地域おこし協力隊を希望し、いくつか面接を受けたところ、ご縁が生まれたのが曽爾村でした。

愛するスポーツのプランを
村長に直訴し、実施スタート

林業で「森を活かしたなりわい創出」をする担当として、2017年4月に曽爾村へやって来た渡利さん。村内の林業家のもとで、山で間伐や枝打ちなどを行って山を生かす「山いき」と呼ばれる仕事を始めました。そして、その仕事に慣れてきた2017年秋頃、渡利さんはあるプランについて「僕にやらせてください」と村長に直訴し、それをスタートすることになります。それは、渡利さんが10年ほど続けている趣味であるマウンテンバイクのダウンヒル競技の、コースづくり。山に造られた急斜面のコースを高速で下るスポーツです。「横浜に住んでいたときは、春〜秋は毎月のように長野の練習場まで通っていました。全国にはあまり練習場がないんです。都市部からアクセスしやすいところにコースがあれば、きっとプレイヤーの拠点になります」。村は、地域おこし協力隊に対して「林業をベースに、加えて山の可能性を広げる活動もしてほしい」と希望していたため、渡利さんは「ダウンヒル競技のコースをつくりたい!」と提案したのです。

コースづくりに奮闘中!
2018年8月にオープン

曽爾村には約320haの村有林があり、村はその活用に従事する人材を探していました。渡利さんの希望は受け入れられ、屏風岩のふもとの土地でコースづくりをスタートしたのです。「大好きなスポーツとはいえ、コースを自らつくった経験はないので(笑)、試行錯誤しています。技術を習得して、重機のユンボを使って根っこを掘り返し、引き抜き、斜面をつくり、手作業でならしていって……、大変ですけど楽しいですよ。
たまに製材などのお手伝いもして林業のスキルを磨いていますが、現在はほとんどコースづくりの仕事を行っています」。そう笑顔で話す渡利さん。100mほどのコースが4本と初心者コースを既に完成させていて、2018年8月から週末を中心にオープンしています。「都市部に住んでいる方は、曽爾村のこのすばらしい自然に魅せられるはずです」。

今後も曽爾村で、林業や
ダウンヒル競技に携わりたい

曽爾村に来てからの日々を、渡利さんはこう語ります。「協力隊として受け入れてくださり、村のみなさんが優しくて感謝しています。仕事のほうは、林業はやはりおもしろいと感じています。機械が好きなので触っていて楽しいし、僕に合っているなと。広大な自然のなかですから危険も伴いますが、誰にでもできる仕事ではないというところに身を置きたかったんです。危ないなかでも安全に行えると
『よし、やれてるな、自分』と思えるところが好きで(笑)、それは林業とダウンヒル競技の共通点でもあるのかもしれません」。今後は、「曽爾村で林業に携わりながら、マウンテンバイクやダウンヒル競技についてしっかり定着させていきたい」と話す渡利さん。みんなが楽しめる場づくりをし、それを自然のなかのスポーツとして“曽爾の武器”にしていきたいと考えています。

農林業公社 その他の記事

トップに戻る