01 薬草を活用した
地域イノベーション

農林業公社では、平成28年4月から薬草を活用した地域イノベーションにも取り組んでいます。現在は、村内のレストラン施設「曽爾高原ファームガーデン」と協力して、和洋の薬草を育てるハーブガーデン整備と、ハーブを使ったお菓子などの商品開発に着手。
さらに、村人たちが昔から食していた大和当帰やシャクヤク、ナツメ、クコ、などの栽培も構想しています。曽爾村には、江戸時代から大和当帰を栽培していた記録も残されており、村が掲げる「心身健美」というコンセプトと合致するということで、このプロジェクトが進められることになりました。

02 試験的な商品開発から、
いずれはハーブの体験施設に

この薬草プロジェクトで、薬草の栽培や商品開発に協力してくれているのが、先述した曽爾高原ファームガーデンの立花弘晶さん。現在、ミント、レモンバーム、ラベンダーなどのハーブを育て、手始めに、ミントを使ったチョコチップ入りスコーンや、デザートにのせるミントティーのジュレを試験的につくり、販売を開始しています。「加工品にする量はまだ栽培できていないので、まずはできるところから始めているところです」。来年度からは種類も生産量も増やしていき、ハーブ摘み体験や、その場でブレンドしてハーブティーをつくるワークショップなども構想しています。「誰が来てもハーブを体験できる場所にしていって、山登りや温泉、景色などと相まって、薬草が心健やかに過ごしてもらえる一つの要素になったら良いなと思っています」

03 歴史の残る奈良で、
育て方と使い方を示していく

そして、このプロジェクトのプロデューサー的役割を果たしてくれているのが、株式会社ALHAMBRAの代表を務める橋本真季さん。橋本さんは奈良市の出身で、東京でファッションのブランドマーケティングなどの仕事に従事した後、自然素材の食品や化粧品を扱う会社を起業。現在も、全国各地を飛び回り、産地と協力して原料をつくるところから、販売までを一貫して執り行っています。そんな橋本さんがたどり着いたのが、日本の薬草文化。しかもその始まりは奈良と言われており、縁を感じた橋本さんは、生まれ故郷の奈良で薬草に関わる仕事を始めたのです。「明治時代に、西洋医学が入ってきて、東洋医学は医学じゃないとされてしまいました。生薬を作っても商売にならなくなって、つくる人がいなくなった。でも、ストレス社会になって、今、東洋医学が見直されつつあり、国も県も力を入れ始めています。だからこそ、栽培と使用の歴史が残っている奈良で、やることに意味があると思っているし、育て方と使い方をもう一度示していきたいなと考えています」

04 少し昔に戻すことで
心と体を健やかに

「日本人は特別なことをしなくても、自分たちでケアできていたんです」と橋本さんは話します。「都会にいると無駄なことでストレスを溜めてしまうけれど、少しでも昔の生き方に戻すことで、人々の心と体が健やかになれる。難しいことをしなくても、自然の恩恵を受けて暮らすだけでいいんだと思える人を増やしていきたいんです」。橋本さんの言葉を裏付けるように、曽爾で暮らすおじいさんやおばあさんたちは、生えている榧の木の種から油を取ったり、食用にしたりして暮らしていました。
「かずらという集落に12本ほど生えている榧の木は、希少な左巻きで、天然記念物に指定されています。そんな村の象徴であり、集落の人たちの誇りでもある木が活用されてきた歴史を、村内外の人たちが全然知らない。それを伝えて、身近なもので暮らしが成り立っていたことを知るきっかけになってくれたらいいですね」。農林業公社では、この榧を使った新たな商品づくりや、曽爾高原ビールのホップを曽爾産にすることなど、さまざま取り組んでいく予定です。

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